宗教新聞 2013年2月5日(火曜日)掲載 書評記事

21世紀に生きる日本人のための浄土思想を求めて

上橋 泉/著

「日本人霊性への目覚めの時」

 著者は外務省勤務を経て千葉県柏市議となり、現在六期目。生長の家の家庭に育ち、留学した米国で人工中絶反対の活動に参加、友人から聖書を学ぶ。母親からは「政治家になって日本を救え」と育てられた。東日本大震災を日本人の精神の危機ととらえ、その再生の道を探っている。
 前半は、ヴィクトール・フランクルのナチス強制収容所での体験を踏まえ、自己の尊厳を極める思想に手掛かりを求めるが、「これでは大衆を教導できない」との結論に達し、絶対者(神または仏)、宗教による道へと思考を深める。
 そして、日本史上で最も社会が混乱した平安時代末期から鎌倉時代にかけてが、日本人が最も宗教的になった時代であり、その中心が浄土思想であったことに気づく。