中外日報2013年9月28日号6面 中外図書館

 

新刊『21世紀に生きる日本人のための浄土思想を求めて』上橋 泉著 

絶対者の導きを得て絶望から立ち上がれ

 千葉県の柏市議会議員として活躍する著者が、63年の人生を通して考え、経験したことを総動員して、困難な時代を生きる現代人に贈る激動の書である。生きることへの確信に基づき、古今東西の哲学・思想や実践書の智慧を伝える警世の書ともなっている。

 鳥取県に生まれ、京都大学法学部を卒業後、外務省に入省。在イラン大使館勤務時に米国大使館人質事件に遭遇。イラク戦争では在留邦人を安全に帰国させるために尽力した。本書執筆の動機は、東日本大震災で被災した人々の深い悲しみと喪失感を目の当たりにして、現代日本の国民精神が危機的状況にあることに思い及んだところにある。

 著者は震災後の保守派言論人の発言に、自然の営みを「天意」と受け止める心の欠如を感じ、絶対者を心に持たない日本人は絶望に陥った時、そこから立ち上がる精神的エネルギーを与えるものは何かという根源的な問題について模索した。

 「人は絶対者を認めずに生きて行けるのか」という究極の問いに対し、答えを浄土思想に見いだした。それは「宇宙の中で生きることの不可思議性の奥にある絶対者の大いなる愛」に気付くことであり、絶対者の導きで人は生きることができるという確信である。

 定価1500円、如月出版(電話03・6657・9000)刊