2013年4月7日 神奈川新聞 朝刊 6面 「読書」掲載


「悪魔の尻-妙魔界図説-」

奇怪な「毒キュート」絵本

むかいあぐる 著

 表紙からして毒々しく、絵の雰囲気がドロドロしている。全編を通じて、紫や赤、黄緑の絵の具をぶちまけたような色使い。でも、どこかかわいい。自ら「毒キュート」と表現している。

 いたずら好きな主人公の女の子が、ある日悪魔に取りつかれて悪魔のお尻の一部になり、元の姿に戻るために冒険、奮闘する−という物語。絵本とはいえ、A5判で80ページにわたって展開され、結構ずしりと重い。

 「うがいをするとウォシュレットみたい」と「顔にあるお尻」に悲観し、泣きだす主人公。お菓子でできた「生き物」が登場し、血だと思ったらイチゴだった・・・。確かにキュートなエピソードが次々出てくる。そして最後は「ああ、よかった」とホッとする。

 熊や亀を思わせる10種類のキャラクターは、奇々怪々だが、醜悪というわけでもない。どれも甘いお菓子のような雰囲気が漂う。サブカルチャーの世界で注目を集めるゴスロリ(ゴシック・アンド・ロリータ)に通ずる幻想的な絵柄は、海外でも発表された。

 著者は広島県出身で川崎市宮前区に事務所を構える。22歳で上京してから15年にわたり、10代や主婦などを対象にした雑誌、広告の挿絵を手がける。本書はその集大成という。(起)( 如月出版 03-6657-9000、1365円)