読売新聞 2010年12月9日朝刊掲載

 

病の父励ます絵本 英訳

「世界の子どもに」出版社提案 (本を読もう2010国民読書年)

本多さん原作 仲間の友情描く

 脳梗塞で倒れた父を励まそうと、府中市宮町の美術家、本多眞紀子さん(38)が出版した絵本が英語に翻訳され、出版されることになった。同じ屋根の下で暮らす仲間の友情を描いており、出版社側が「外国の子どもたちに見てもらいたい」と申し入れた。絵本は今月下旬のクリスマス前後に売り出されるという。

 真紀子さんは都立府中高校、東京芸術大美術学部彫刻科を卒業後、絵や彫刻の創作活動を続けている。
 3姉妹の末っ子として育った真紀子さん。幼い頃に父親の龍造さん(76)からプレゼントされた子ブタのぬいぐるみに洋服を着せ、家族の一員のように扱ってきた。昨年3月、龍造さんが病に倒れたことをきっかけに、「大切にしてきた子ブタのぬいぐるみをテーマにした絵本を作ってあげたい」と思い立った。

 絵本の題名は「ビッグピッグとなかまたち」。パン工場で働く主人公のビッグが新しい友だちのシロ(猫)を連れて帰ると、集まってきた仲間たちがシロを取り合いし、シロはけがをしてしまう。「僕が連れてきたのが悪かったんだ」と泣き伏すビッグの姿を見た仲間たちが反省し、シロのケガを一生懸命治し始める。元気になったシロをビッグに見せ、みんながニコニコ顔になるという話だ。

 絵本は9ヶ月かけて完成した。絵本を読んだ龍造さんは、涙ぐみながら喜んでくれたという。「うれしかった」と真紀子さん。

 英訳を企画したのは如月出版(目黒区)。同社の社員が府中市の飲食店にあった絵本を見て、社長に報告したところ、社長が「ぜひ英訳して世界の子どもに読んでもらいたい」と真紀子さんに話を持ち込んだ。

 絵本はカラー、31ページ。A4変形判。定価1260円(税込み)。問い合わせは同社(☎03-6657-9000)へ。