神奈川新聞 2011年1月15日朝刊掲載

詩人・黒田維理さん没後5年脚光なお

寺山修司の手紙など初公開

横浜で21日まで個展

絵画作品とともに初公開された北園克衛の手紙や年賀状、寺山修司のはがき、写真など

 

 慶応大学の医学生時代から詩人として活躍した黒田維理さんが、2005年12月に76歳で亡くなってから5年。

半世紀前に出版した詩集復刻版が出るなど脚光を浴びている。

 横浜市中区で開催中の個展には師のモダニズム詩人・北園克衛(1902〜78)や寺山修司(1935〜83)の手紙、はがきが初公開されている。

 黒田さんは1962年から大和市で産婦人科医院を経営。絵画にも造詣が深く、若手発見に力を注いだ。

 北園との出会いは53年2月。北園の主宰する機関誌「VOU」のメンバー募集に応じ、選ばれた。

 展示された北園からの手紙の1通は55年8月に出された。7月発行のVOU46号に掲載の寺山の短篇「夏のノオト」に触れ、

「すっかり一杯くわされました。印刷すると全然ガタガタで怒ってやりました。20歳ということも考慮に入れても貧弱です」と手厳しい言葉を連ねた。

 翌年、寺山は黒田さんに詩集「ナポリのナプキン」を懇願するはがきを送った。「いま戯曲を書いている。ぼくの自己形成にとって記念碑なのでほしい」と記した。これらは、デビュー直後の寺山を知る貴重な資料になりそうだ。

 58年、北園の装丁デザインで凝って限定出版された詩集「サムシング クール」は、07年に如月出版が当時のまま完全復刻、3刷を重ねる。黒田さんの晩年までの詩や北園論、随筆を収めた「ナポリ フラッグ」も同社から09年に刊行された。

 黒田さんは絶えず画廊を巡った。同行した妻の正子さんは「有望だ、と思うと買っていた」と振り返る。留学費用を支援することもあった。個展は「詩人・黒田維理が愛した北園克衛と画家たち展」と名付けられ、菅野功や松浦安弘ら12人の25点を展示する。

 21日まで、JR関内駅前セルテ3階のせんたあ画廊。☎045(662)2937.入場無料。

 

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